蒸溜所設備と熟成環境
設備はスコットランドのフォーサイス社製のものを導入。
アイラ島のウイスキー造りと同様、泥炭(ピート)層を通った水を仕込み水に用い、
冷涼で湿潤、そして海風が当たる場所「厚岸」で日々、熟成が進んでいます。
フォーサイス社製の
ポットスチルとマッシュタン
ポットスチルの形状はストレートヘッドのオニオンシェイプで、アイラ島のいくつかの蒸溜所のものと似ています。
加熱はラジエーター方式、付属するコンデンサーはシェル&チューブ式です。
マッシュタンはセミロイター式です。
施工はすべてフォーサイス社の職人が来日して行いました。
発酵槽(ウォッシュバック)はステンレスで、あえて温度調整はできないタイプに。自然に任せながら、クラフトマンが発酵のタイミングを見極めます。
熟成樽に”ミズナラ”も使用
2つのダンネージ式の熟成庫に加え、2018年2月に革新的なラック式の熟成庫が完成しました。その熟成庫は厚岸湾のすぐ側にあります。空気中を漂う海の香りがウイスキーの特性に良い影響を与えることが期待できます。
熟成樽はバーボン、シェリーに加え、入手困難な「ミズナラ」も使用。さらにワインやラム樽とのマッチングなど、あらゆる可能性に挑戦しています。
ウイスキーに使用する上水の取水口は、蒸溜所のそばを流れる尾幌川上流のホマカイ川。その周辺は湿原地帯で、清流にしか生息しないといわれるバイカモの生息地です。夏季に咲く小さな白い花は豊かな水のシンボル。この水が厚岸のウイスキーを育みます。
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蒸溜所所有者
堅展実業株式会社
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蒸溜所設立
2016年(平成28年)
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蒸溜器(ポットスチル)
2基
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ウォッシュ・スチル
5,000L
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スピリット・スチル
3,600L
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発酵槽(ウォッシュバック)
6基
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ウェアハウス貯蔵方式
ダンネージ式/ラック式
冷涼で湿潤な気候
海霧が発生しやすく、霧に覆われていることの多い厚岸町。蒸溜所の北東には別寒辺牛湿原が広がっています。
この霧や湿原がアイラモルトのようなウイスキーづくりには欠かせない条件です。
厚岸霧多布昆布森
国定公園に指定
2021年3月、蒸溜所のある厚岸町近辺が「厚岸霧多布昆布森国定公園」に指定されました。
また、 厚岸湖と別寒辺牛湿原はラムサール条約の登録湿地です。ラムサール条約とは、1971年2月2日にイランのラムサールで採択された湿地に関する条約で、水鳥をはじめとする野生動物の生息地となっている湿地を、国際的な協力のもと保全および賢明に利用することを目的としています。
当社もこの豊かな自然を守り、共存していく蒸溜所を目指しています。
蒸溜所の歩み
この自然豊かな北の地が未知なる
ジャパニーズウイスキーの風味を
つくり出してくれると信じ
2016年に蒸溜を開始しました。